野外展示と長瀞「岩畳」
カエデの森
博物館を囲むように植えられている多種多様なカエデが、毎年11月中旬頃に紅葉の見頃をむかえます。
カエデのなかまにはたくさんの種があり、埼玉県には21種のカエデが自生しています。カエデの森では、埼玉に自生している多くの種類のカエデを見ることができます。一口にカエデといっても、種によって葉の形や色づきが異なります。様々な色をなす、当館カエデの森の紅葉を、ぜひお楽しみください。
紅葉ライトアップ
毎年11月中旬頃にカエデの森のライトアップを行っています。幻想的に照らし出されるイロハモミジやオオモミジの紅葉を見ることができます。また、長瀞町の紅葉名所も同期間中ライトアップされます。長瀞全体の夜が彩られ、例年多くの方でにぎわいます。
※詳しい日程は時期が近づき次第トップページでお知らせします。
メタセコイア
メタセコイアは、昭和14年(1939年)に化石が発見されました。約70万年前に絶滅したと考えられていましたが、昭和20年(1945年)に中国の内陸部で生きているメタセコイアが発見、翌年発表されて「生きている化石」として大変有名になりました。
当館の庭には、4本のメタセコイアがあります。これは、生きているメタセコイア発見から9年後の昭和29年(1954年)にニューヨーク植物園から5本分けてもらったものです。当時は30cmほどでしたが、60年以上経過し30m以上にまで成長しました。
埼玉のメタセコイア化石
埼玉でも深谷市の荒川右岸や、入間市から狭山市にかけての入間川河床とその周辺から化石が多く産出します。
博物館内で展示している化石林の展示資料は、狭山市笹井のものです。
日本地質学発祥の地の碑
長瀞で見られる岩石「結晶片岩」は、地下約20~30kmでつくられたもので、長瀞では、その片岩を観察できることから「地球の窓」といわれます。
東京から近く、いち早く鉄道が通じたこともあり、明治11年(1878年)に東京帝国大学の初代地質学教室教授のナウマン博士が訪れて以来、多くの研究者や学生が長瀞を訪れており、秩父・長瀞地域は「日本地質学発祥の地」とよばれています。
平成5年(1993年)に日本地質学会発足百周年、長瀞町町村合併50周年及び天皇皇后両陛下行幸啓を記念して、日本地質学発祥の地の碑が当館に建立されました。
宮澤賢治も長瀞を訪れました
宮澤賢治が秩父地方を訪れたのは、盛岡高等農林学校2年であった大正5年(1916年)のことです(当時20歳)。目的は、秩父地方の岩石や地質を見学するためです。その際、荒川沿いの結晶片岩を例えて詠んだと思われる歌の歌碑が博物館前の荒川岸への降り口にあります。
長瀞「岩畳」の自然
博物館から10分ほど歩くと、長瀞名所「岩畳(いわだたみ)」に到着します。風光明媚な風景は古くから人々に愛され、大正13年(1924年)には国の名勝・天然記念物に指定されました。
現在は、観光地として全国的にも有名ですが、数多くの地質現象を観察できる地質見学の聖地であるとともに、多様な動植物を観察できる、とても自然豊かな場所です。
ぜひ、博物館見学後は実際に長瀞「岩畳」の自然をお楽しみください。
長瀞自然観察マップを配布しています
博物館にご来館の方に、長瀞自然観察マップを無料で配布しています。今の季節どのような動植物を見ることができるのか、歩く際のおすすめルート、長瀞自然の豆知識などを掲載しています。
ぜひこのマップを見ながら岩畳へ自然観察に出かけてみてください。より長瀞の自然を深く知ることができますよ!
長瀞「岩畳」でみられる地質現象
岩畳の岩石は、薄くはがれやすい「結晶片岩」という岩石です。この岩石は、海底につもった地層が地下約20~30kmの深さまでおしこまれ、強い圧力を受けてつくられました。その後、地下深くからもち上がってきたときに、たくさんの割れ目「節理」ができました。
岩畳周辺は、垂直に近い節理がほぼ東西・南北方向に格子状に走っており、畳のように四角く区切られたようになっています。岩畳は、幅約80m、長さ600mにわたって広がり、畳約2万枚分の広さになります。
スティルプノメレン片岩と緑色片岩でできた「虎岩」
親鼻橋付近でみられる紅簾石片岩
こすると黒い粉のつく石墨片岩
ポットホール
川底の岩盤のくぼみに入りこんだ石が川の流れによって回転し、長い年月をかけて岩盤を削ってできた穴です。岩畳最大のものは、直径約2mもあります。
長瀞「岩畳」でみられる動植物
長瀞には、荒川の流路、砂れき地、岩畳、旧流路に水がたまってできた四十八沼、河畔林や斜面林など多様な環境があります。乾燥する岩場、湿った水辺、明るい草地、暗い林内と、多様な環境に応じた様々な動植物をみることができます。
トンボじゃないよ!
キバネツノトンボ
場所:岩畳の草地
見頃:4月下旬~6月上旬
特徴:乾燥した草地のみに生息します。ウスバカゲロウと同じなかです。
日本一の大群落(ぐんらく)!
ユキヤナギ
場所:岩畳、川沿いの岩場
見頃:3月~4月上旬に白い花が咲き、秋には紅葉します。
特徴:岩の割れ目に根をはり、しなやかな枝で増水に耐えます。
花を舞う温厚なハチ
キムネクマバチ
場所:フジなどの花の周り
見頃:4月~10月
特徴:体は丸っこく、胸部が黄色。オスはホバリングして、目の前を通り過ぎるものを追います。
長瀞が昔「藤谷淵」と呼ばれた理由
フジ
場所:岩畳や対岸の岸壁
見頃:5月上旬、薄紫色の花が房状に咲きます。秋にはタネがはじけて飛びます。
特徴:通常高い木に巻きつきよじ登りますが、岩畳では低木状になります。
日本の国蝶にえらばれた森の蝶
オオムラサキ
場所:河畔林の樹液
見頃:7月~8月
特徴:バサバサと音を立てて樹液に来ます。体が大きく目立ちますが、個体数が少なく、なかなかみられません。
湿った場所が好き
ミソハギ
場所:四十八沼のふちなど
見頃:7月~8月頃に紫色の花が数多く咲きます。
特徴:お盆のころに花が咲くため、盆花として使われます。
岩畳を代表する希少なアカトンボ
キトンボ
場所:四十八沼の開放的な場所
見頃:10月~11月
特徴:翅(はね)の半分が透明な黄色。大きな沼地を飛びます。
秋の七草のひとつ
クズ
場所:虎岩付近など開けた場所や林縁
見頃:8月~9月頃に紫色の花が咲きます。
特徴:根はくず粉の原料。長瀞には、それぞれの秋の七草を楽しめる7つの寺があります(七草寺)。
川原でしか生きられない
カワラバッタ
場所:虎岩の周辺の岩場
見頃:7月~10月
特徴:岩場に紛れる体色。飛ぶと青く美しい翅(はね)がみえます。