特集展示「未来の天然記念物!?重要化石大公開!」

特別展では期間を前半、後半に分けて一部展示を入れ替える予定でした。

後半の「未来の天然記念物!?重要化石大公開!(1/5~2/28)」は、残念ながら休館のまま、会期終了を迎える見込みとなっています。

そこで、少しでも展示の内容をご覧いただくために、公開予定だった化石資料をご紹介します。

全体

埼玉県には、今からおよそ3億年前の古生代から現代にいたるまでの地層や岩石が分布しており、様々な化石が見つかっています。

こうした化石たちは、過去の埼玉にどのような生き物が暮らしていたのかを私たちに教えてくれます。

 チチブクジラ

秩父市産大型ヒゲクジラ化石

秩父市の荒川河床から発掘された、およそ1550万年前のヒゲクジラ類の標本です。

まだクリーニングと補修作業中で、これから研究が進められますが、頭の大きさは約1m60cmもあり、推定される全長は8mです。秩父地域から産出しているヒゲクジラの中では最大の標本で、ほかの部分の骨も多く見つかっています。

当時はチチブクジラなど、全長4mほどの小型のヒゲクジラが多かった時代。この標本はヒゲクジラの大型化を示す貴重な標本です。

ホタテのブローチ

頭部の拡大写真・ハヤシホタテ

頭部の左上には、ハヤシホタテの化石がくっついており、まるでクジラがブローチをつけていたように見えます。

これはクジラが死んだ後、ハヤシホタテの貝殻と一緒に海底の砂に埋もれたためであると考えられます。

拡大写真

拡大写真

骨の断面をよく見ると、無数の穴(白っぽい部分)が開いていることが分かります。

これは海綿質と呼ばれる部分で、私たち動物の骨にみられる構造です。

化石の発掘現場で化石と石とを見分ける際、判断材料になります。

スピノ1

スピノサウルス化石(レプリカ)

スピノサウルスは全長17mにもなったといわれる最大級の肉食恐竜です。1911年にドイツ人古生物学者のシュトローマーがエジプトのサハラ砂漠で発見した標本をもとに、1930年に命名されました。

現在は研究によって、この恐竜が魚食性であったと考えられています。

1994年、群馬県神流町(当時は中里村)の白亜紀前期の地層から、高さ5.1㎝、幅1.5㎝のスピノサウルス類の歯の化石が見つかりました。

スピノサウルス類の化石は、アジアで2例目、国内では初めて見つかったもので大変貴重です。埼玉県小鹿野町にも同じ地層が分布していますが、恐竜の化石発見には至っていません。

スピノ2

歯のアップ

口元を拡大すると、鋭い歯がびっしりと並んでいます。

同じ大型肉食恐竜であるティラノサウルスの歯は太く、ナイフのようなギザギザが付いているのに対し、スピノサウルスの歯は全体的に細長く、先がとがった形をしています。

こうした歯は、魚をひっかけて捕らえるのに適しています。

サンチュウリュウ1サンチュウリュウ2

神流町産出サンチュウリュウ椎骨化石(レプリカ)

サンチュウリュウ

1981年に群馬県神流町(当時は中里村)の白亜紀前期の地層から、長さ11㎝、最大幅8㎝の大型恐竜の椎骨化石が発見されました。化石の発見さ れた地域は、山中地溝帯とよばれているため、“サンチュウリュウ(山中竜)”とよばれるようになりました。

当初は、ガリミムス類の化石とされていましたが、現在では、ガリミムスよりもより原始的なオルニトミモサウルス類であるハルピミムスに近い仲間ではないかと考えられています。サンチュウリュウの化石は胸胴椎の一部であると考えられていますが、

大きさは非常に大きく、推定される全長は約5mにもなります。埼玉県の小鹿野町にも白亜紀前期の地層が分布しており、今後恐竜化石発見が期待されます。

終わりに